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あんにょん…

 韓国ロックを語る上で欠かせないのは、シンジュンヒョン先生の存在と、ロックバンド「サヌリム」だ。

 サヌリムは3人兄弟で、77年のデビューから90年ころまでに12枚のアルバムを出した。独特の世界が特殊漫画家の根本敬氏や音楽評論家の湯浅学氏らの名盤解放同盟によって評価され、ベスト盤がCDとして日韓両国で発売されたりした。
 90年代に入ってからはしばらく休眠していたが、97年「ムジゲ」というアルバムで復活した。

 実は私はそのころ、日本人による韓国ロック専門バンド、コプチャンチョンゴルのメンバーと一緒に、ソウルでこの3人と食事をしたことがある。

 新アルバム発売にともなって、ライブ活動も行なっていく、古い曲もやるというので、私の好きな曲をリクエストしたら「それは難しいからできない」と言う。
 えーだってアルバムでは演奏してるじゃないですかぁ! と言ったら「それはスタジオミュージシャンが演ってるから」だって…。
 道理で、アルバムによって音の質感がまったく違うと思いましたわ。
 てゆうか、新しいアルバムを聞いた第一印象が、昔よりヘタになった、シロートくさくなったということだったのだが、あーやっぱりそういうことだったのねと納得した。
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↑演奏ははっきりいってヘタ、ギターのチューニングもあやしいが、でもそんなの関係ねぇ! ロックは技術じゃねぇもん! 左上のロゴはファンシネバンドのキムヒョンテ氏がデザインしたそうだ

 その後、長兄のキム チャンワンはタレント・俳優としてテレビや映画で活躍、次兄チャンフンと末弟チャンイクはカナダに移民し事業を興したりして、バンドとしてはふたたび休眠状態に入ってしまったが、何年かに一度くらいずつ集まってライブなどをしていたようだ。

 ともかく、彼らが韓国音楽史に残した足跡が偉大であることは間違いない。
 ちなみに、ソウルオリンピックのころ「韓国のマドンナ」と言われ、私もファンだったキム ワンソンの1・2集の作曲者が、実はサヌリム次兄のチャンフンだったということを後から知って驚いたことがある。
 サヌリムは、長兄チャンワンのバンドと思われがちだが、ロックっぽい面はむしろ次兄チャンフンの色が濃かったのではないか? ブリっ子アイドル全盛の80年代の韓国歌謡界に衝撃を与えたキム ワンソンのロックっぽさは、そのあたりに由来するのだと思えば納得がいく。

 それで、なぜ急にサヌリムの話かというと、サヌリムの末弟でドラマーのチャンイクさんが、事故で亡くなったという記事を読んだからだ。

 今さらだが、去年のライブ行けばよかった。

 心よりご冥福をお祈りします。あなたのことは、世界の多くの人が忘れません。

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↑サヌリム3集、名盤です!
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↑サヌリム最後のライブ。でもドラムは逆光でほとんどわかんないや…ToT
 歌っているのが長兄チャンワン、後ろの方でギターを弾くのは、あ、コプチャンチョンゴルの長○川ちゃんだ!

by kobugimori | 2008-02-01 15:44