テレビニュースは終わらない

 もう20年以上も前だろうか?
 確か、宝島えのきどいちろうが書いたものだったと思うが、
「TBSのニュースで、モスクワからの衛星中継で特派員室が映ると、本棚に江戸アケミの本がささっているのが見える」
という記事を読んだ。それ以来、私はそのロックっぽい「TBSのモスクワ特派員」を、なんとなく気にするようになった。
 とはいえ、いつもテレビばかり見ているわけではないので、なかなか気がつかなかったが、ロシアの庶民の暮らしのリポートか何かだったろうか? 突然、テレビから江戸アケミが率いていた暗黒大陸じゃがたらの歌が聴こえてきて、ビックリしたことがある。

 それからしばらくして、その「TBSのモスクワ特派員」が、日本に帰ってくることになった。
 この特派員の在任期間は、ソ連が崩壊しロシアに変わる激動の時代と重なる。そこで、筑紫哲也の番組で、その間の激動ぶりを伝えるために、3日間にわたる大特集を組んだ。
 私は、そのロックっぽい特派員が、どんなものを見せてくれるのだろうかと興味津々だった。

 内容は、期待に違わず、臨場感と迫力のある映像の連続で、3日間飽きずに見応えがあった。

 そして、その、3日間にわたる大特集の、最後を締めくくった話題が何だったかといえば、

地元のロックバンドの紹介

 だったのでした(笑)。

 しかも、ロシアで社会現象を巻き起こしているとかそういうのじゃなくて、ロクな機材もない場末のライブハウスで歌っているようなマイナーなやつ。
 例の特派員が「初期のポリスをホーフツとさせるんですよ!」などと熱く語って、筑紫哲也が「はあ、そうすか…」みたいな(笑)。
 私が期待していた通りの展開に、なんだかとてもうれしい気分になった。

 その後、この人はしばらく日本にいて、天皇在位10周年のころには、記念式典に呼ばれてのこのこ出ていった「ロック」バンドのことなどについて、忌野清志郎と語りあったりしていた。

 そして、2002〜3年ころだと思うが、アメリカ特派員としてまた日本を離れた。
 戦時体制下のアメリカから、政治家やマスメディアや、世論に対してさえ、いつも批判的な調子のレポートを送ってきていて、この人らしいと思っていた。

 だいぶ前置きが長くなったけれども、集英社新書「テレビニュースは終わらない」。
 この人、金平茂紀さんが書いた本です。
 ロックの話は出てこないが、問題意識が明快でわかりやすかった。
 特に、巻末の、ロシア語通訳で文学者の米原万里さんとの対談は、これを読んだことで今年の敗戦記念日が意義深いものになったような気がした。これからも、繰り返して読みたいと思います。

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by kobugimori | 2007-08-15 16:42